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  • 執筆者の写真ドーナッツ△キャンプ

あふれ出る厄年。

ヌルッと始まった2020年。

3回目の年女、2回目の本厄となる。


なぜか私は「厄年」に敏感である。

子どもの頃になんとなく

周りの大人たちやテレビなんかで見聞きした、

「厄年だから…」みたいな言い訳に

憧れのようなものがあったのかもしれない。


「厄年」にやたら敏感な私は、

新年早々、初詣に訪れた神社の鳥居の看板に心が暗くなる。


間違いない。看板は厄年早見表。

昭和59年生まれ37歳(数え年)本厄。

絶望である。


普段信心深くないし、

占いなども読みっぱなしで特に記憶にとどめたりはしない。

神社や寺を観光として楽しむことはあっても、

信仰として足を運ぶことは不謹慎ながら少ない。

「パワースポット、いぇーい!」くらいのものであるが、

私は一応、真宗大谷派。


9歳で得度して比叡山で20年間修行したにもかかわらず、

自分の中にある煩悩が消えないことに悩んだという親鸞聖人が開祖した

浄土真宗を信仰している(らしい)。家的に。


親鸞の逸話集だったり、

弟子の唯円が書き残した「歎異抄」の現代語訳をサラッと読んだことはある。

しかし、歴史上でどの僧侶が好きかと問われたら、

“とんちの一休さん”で知られる一休宗純とこたえる。

私はとにかく型破りで破天荒な人が好きなので、

一休宗純の逸話集や一休が書いた「狂雲集」の現代語訳は、

まだ学生だった私をひどく興奮させた。とにかく無茶苦茶な坊主で!


…話が逸れに逸れてしまった。

親鸞や一休、ましてや宗教の話がしたいんじゃない。


私はまだ新年明けて1か月も経っていないのに、

本気出してきた「厄年」の餌食になってしまった。

食当たりというかたちで。


話しは成人の日に遡る。

その日はとあるメンバーで新年会をした。

京都の東福寺エリアにある韓国料理屋さんで。

家族経営だろうか、

気の良いオモニが営むアットホームなお店で、

安くておいしいお店だった。


その日は店内でオモニの孫の1歳になる誕生日パーティーが

盛大に行われていて、

客は我々グループしかいない…という謎過ぎる状況だった。


チャプチェにナムル、サムギョプサル、石焼きビビンバ、

チゲ鍋、チヂミ、ホルモン焼き。


しこたま食べて、お喋りを楽しみ、

楽しい宴はあっという間に終わった。


楽しかった宴の余韻に浸りながら、

次の日は店を営業し、何事もなく終わろうとしてた。

最近は、この季節では珍しく夕方のいい時間に雨が降る。

近所のママさんたちのお迎え帰りで立ち寄ってもらえる時間帯、

この時間に雨など降られたら、商売あがったりである。


今日はヒマだったなぁ…などと思いながら、

仕事を終えて、帰宅し簡単な食事をとる。

豚キムチを作り、卵、イカを即席麺にぶち込んで食べた。

そして、ゆっくり風呂に入っていた。


あれ、おかしい…。

そんなにたくさんの量を食べた訳でもないのに、

お腹が張ってきた。胸がつかえたような不快感がある。

急いで風呂から上がり、

布団を敷いて横になるとあっという間だった。


どの体勢で寝ても落ち着かない。

上腹部のシクシクとキリキリとした痛み。

猛スピードで体調が悪くなっていくのを感じながら、

為す術がなかった。


帰宅した夫が、

慌てて近くのコンビニへ胃腸薬を買いに行ってくれた。

それを飲んで、また横になる。

胃腸薬のおかげもあるのか、

シクシクとキリキリとした上腹部の痛み、張ったお腹、胸のつかえが

一瞬緩み、キュルキュルと胃腸が動きだした。


ビッグウェーブだ!

そう思った瞬間、トイレに駆け込み、便器に顔を突っ込んだ。

ナチュラルかつスムーズに嘔吐したのである。

華麗なるリバース!胸のつかえが取れたような気持ちになった。

それで随分と楽になった気はしたのだが、

ビッグウェーブは下からもやってくる。


こうなると上からも下からも状態である。

大人になって、これほどの体調不良が久しぶりだったこともあり、

なかなかショックだったが、

今読んでいる能町みね子さんの「結婚の奴」の冒頭が、

水状のウンコを漏らした話からだったのを思い出し、

よく分からないが謎の勇気が湧いてきた。


能町さんはミャンマーに渡航し、帰国後に腹を壊したそうで、

寝ウンコを3回もしてしまった…ということを書いていた。


寝ウンコはさすがにまずいが、可能性は大いにあった。

なんせもう、

なんの意識もせず少し気張れば水状の下痢が出てしまう状況だったから。

いつでも出陣できるぞ!スタンバイOKです!

水下痢がそう言っているように思えるほど。

私の体内に別の生命体が存在しているくらいの感覚。

コントロールができない状態となっていた。


結婚3年、体調不良とはいえ嫁が寝ウンコしたら

我が夫はどう思うのだろうか…そんなことを考えながら、

うつらうつら眠りにつくが、

シクシクとした上腹部の痛みと

時たまくるビッグウェーブに起こされて熟睡することはなかった。

おかげで寝ウンコは免れた。


早朝、早い段階で店を手伝いに来てくれている母に連絡。

食中毒だった場合、菌(もしくはウイルス)保持者の可能性があり、

店のオープン、調理は難しくなるなぁと思い、即病院に連れて行ってもらった。


初めて行く病院、女医さんがやっている内視鏡設備の整った内科。

初診、予約なしの飛び込みということで待たされることは覚悟していた。

受付で病状の説明をしたら、隔離された。

そりゃそうだ!ウイルス性の感染症だったら大変なことになる。


その時はまだ、

前日に食べた豚キムチと生イカ、卵をぶち込んだ即席麺を疑っていたので、

病院ではその食事の説明をした。


血液検査に加え、便検査もすることになった。

ノロウィルスの検査とその他の菌(ウイルス)の検査で、

肛門に2本の棒を刺して便を採取するという…。

初めて訪れた病院で、キレイな看護師さんに、ケツに2本棒を突っ込まれるのか。


若い頃だったら、少しは抵抗感があったかもしれない。

しかし、ありがたいことに(?)私は今年36歳になるおばさんです。

そういったハプニングは大好物。正直言ってめちゃくちゃワクワクします。


ノロウィルスの検査はすぐに出た。結果は陰性。

血液検査は夕方以降、もうひとつの便検は明日以降の結果になるということで、

この日はおとなしく帰宅し、もらった薬を飲んでたっぷり寝た。


病院から帰宅後、新年会メンバーのグループLINEで、

みんなから体調不良のお知らせが入っていた…。


あれ?私は完全に自分が適当に作った豚キムチと

適当に捌いた生イカを疑っていたんだけど。

新年会出席メンバーが全員同じ症状で苦しんでいることを知り、怖くなった。

あの楽しかった新年会…。

気の良いオモニのお店で食べた食べ物で…食中毒!?


飲食店経営者の端くれとして、心底食べ物の恐ろしさを思い知ることになる。

昔アルバイトしていたレストランカフェの先輩が、

口酸っぱく言ってくれていた言葉を思い出した「食べ物で人は殺せる」。


食べ物は管理や扱い方を間違えると、怖い。

料理を出す店なら、生肉の管理とその扱いは気を遣うだろう。

私の店なら、生卵、乳製品、小麦粉、揚げ油の管理と扱い方だ。


菌(ウイルス)をもらったのは、

もはや間違いなくオモニの店だったとしても、

サムギョプサルとホルモン焼きのような自分で調理して食べるものに対しては、

我々自身の責任もあるように思う。

新年会の楽しさと喜びで肉やホルモンが本当に焼けているのか、

雑になってしまって生肉を扱うトングで焼けた肉を扱っていないか…。

そういった気遣いも必要だった。


今回はドエライ目に遭った…と同時に、とても勉強になった。

重症化しなかったのは不幸中の幸いである。

自分の店ではこんなことが絶対にあってはならないし、

これからも気を引き締めて食べ物を作り、提供しなければ。


厄年に戦々恐々としていた矢先、

フルスロットルで厄にぶち当たられたことで

「厄落としできたんじゃない」と母が笑いながら言う。

ホント?私は厄除け祈願しに行く気満々やで。


ゆっくり休めたのもあって、発症から2日で回復。

夫は仕事で夜遅くまで家にいないので、

実家に帰らせてもらい看病してもらった。母に感謝だ。

パートも休ませてもらった。

明日の金曜日は病院に検査結果を聞きに行く。


もうすっかり元気なので、他人事になりつつあるが、

菌(ウイルス)を保持していないことを願う。

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